Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.032 Zeichen · 22 Bildschirme
「あなた見ておいでなのでしょう」
「ええ、お母さんという人をよく拝見して来ました」
「御当人はどうなすったんですか」
「もちろんいました、しかしこれはよく見ませんでしたよ」
「どうして御覧なさらなかったの、だってその娘さんを見にいらしったのでしょう」
「それはそうですが」平三郎はまじめに頷いた、「……然しお母さんという人がたいそう善さそうな方なので、この人の娘ならよかろうと思ったものですから」
この言葉は母親の心をうったとみえ、なお女の眼がふっと潤みを帯びた、父の新五兵衛は温和な笑いを眼にうかべながら、
「だがおまえ、母親を娶るわけではないだろう、親が善いからといってその子が善いとは定っていないぞ」
「それはそうですが、しかし」彼は信じられぬというように父を見た、
「……私は母上が好きですし、この母上があって私の今日があるのだと思いますから、それで大丈夫だと考えたのですがね」
「母上」と、新五兵衛は妻に笑いかけた、「……なにか奢りますか」
なお女は微笑した。泣かされた人のような微笑だった。それでそれをまぎらかすように、わざと事務的な調子でいった。
「それではあなたは来て頂いてもよいとお考えなのですね」