Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.187 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「それならいいけれど……」

梶女はたしかめるようにこちらを見ていたが、すぐ思いかえしたようすで、今日は山辺の温泉へゆくからしたくするようにと云った。

「ここから一里あまり山のほうへいったところで、湯もきれいだし美しい眺めもあり、疲れたときなどにはよい保養になります」

「有難うございますけれど」

お高は眼を伏せながらそっとこう云った、

「わたくし、今日はできますことなら御菩提寺へまいりたいと存じますが」

「ああそれなら山辺へゆく途中ですよ、少しまわりみちをするだけですから参詣してまいりましょう」

「いいえ」

お高はかぶりを振った、

「わたくし今日はおまいりだけに致しとうございます、初めてのことでございますから」

初めて祖先の墓へまいるのに遊山を兼ねるのは不作法だと思う、そういう意がはっきり表われていた。梶女はさすがにおもはゆそうだった。

「それなら山辺は明日のことにしましょう」

こう云ってその日は墓参ということにきめた。

菩提寺から帰るみちで、お高は自分の生れた家が見たいと云った。梶女はすすまないようすだったが、いっしょにいった弟の保之丞がさきに立って案内した。