Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.187 Zeichen · 24 Bildschirme
あの家を忘れることはできません、いまになって父や弟と別れることはわたくしにはできません」
「それだけの深いおもいやりを、わたしたちにはしてお呉れでないの」
梶女はすがりつくような口ぶりでこう云った、
「ここをおまえのお部屋にと思って、襖を張りかえたり、調度を飾ったり、新らしく窓を切ったりした、着物や帯を織らせたり染めさせたりして、こんどこそ親子きょうだい揃って暮せるとたのしみにしていた、これでこそ父上もご出世の甲斐があるとよろこんでいたのですよ、それを考えてお呉れではないのかえ」
それは哀願ともいうべき響きをもっていた。心をひき裂かれるようなおもいで、これが親の愛情だと思いつつお高は聞いた。子のためには、子を愛する情のためにはなにも押し切ろうとする、それが親というものの心であろう、かなしいほどまっすぐな愛、お高はよろよろとなり、母の温かい愛のなかへ崩れかかりそうになった。自分のために模様がえをしたというその部屋、新らしい調度や衣装、どの一つにもまことの親の温かい愛情がこもっている。その一つ一つが手をひろげて迎えているのだ。けれども、お高はけんめいに崩れかかる心を支えた、自分はその愛を受けてはならない、依田の家を出てその愛を受けることは人の道にはずれるのだ。