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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.187 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「松本ではお梶どのがご病気だそうで、おまえにひとめ会いたいから四五日のつもりで来て呉れるようにと、お使いの者が来られたのだ」

「父上さま」

お高は思わずそう云った、

「手をやすめては困るな」

父は笑いながら肩を揺りあげた、どうにもかたい笑いだった、

「ご病気ということだし、せめて四五日、ながい滞在ではないのだから、こんどはおとなしくいってくるがいい、留守のことはもう石原のご内儀に頼んであるから」

少しはおまえの骨やすめにもなるであろう、そう云う父の言葉を聞きながら、お高は弟のつきはなすようなさっきの返辞を思いだしていた。やっぱりそういうことがあったのだ、松之助はそれを聞いて、幼ない頭でどれほどか悲しがったに違いない、お高はそう思いやるとするどく胸が痛みだした。

お高には実の親があった。信濃のくに松本藩に仕えて西村金太夫という、はじめ身分も軽くたいへん困窮していたじぶんに、妻のお梶とのあいだにつぎつぎと子が生れ、養育することにもこと欠くありさまだったので、しるべのせわで松代藩の依田啓七郎にお高を遣ったのである。それからのち、金太夫はふしぎなほどの幸運に恵まれ、しだいに重くもちいられて、数年まえには勘定方頭取で五百五十石の身分にまで出世をした。