Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.083 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

と若い女のひとがたずねた。

私は、差入屋が面会願いを書くということを、その言葉からはじめて知った。

「お書きします。――あれは、御自分でおかきになってもいいんですがね」

主人は釣銭を出しながら後の文句を軽くそう答えたのであったが、私はそれをきいていて商売の細かさと合わせ、同じ商売でもこういう特別な商売におのずから滲み出している官僚風な特色をつよく感じた。自分でお書きになってもいいんですというところまでは、この主人が、差入屋としては親切な部だという評判をいつしか得ている点であろうが、進んでその書き方を若い女に教えてやろうとせず、また敢て教えて下さいと云おうともしないところに、商いのかけひきと同時に、その煩瑣な形式で普通人を戸惑わせ、自身を無力な者のように錯覚させている〔十八字伏字〕。

私は余りいい心持がせずに襟巻を顎の下にひきつけ、そこにかけているのであった。もう一ヵ月以上も〔二十九字伏字〕。そのことを、今日になってやっと知ったのである。

主人は、〔九字伏字〕ならないもんですからと、口のまわりの大きい皺をうごかして云うであろう。それはそうであるが、〔三十九字伏字〕知らしてやるものは無かった。