Japanische Klassiker mit Furigana
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にっきちょう
日記帳
江戸川 乱歩
Lesen Sie 日記帳 (にっきちょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.863 Zeichen · 14 Bildschirme
その昔、大宮人は、どちらにでも意味のとれる様な「恋歌」という巧な方法によって、あからさまな拒絶の苦痛をやわらげようとしました。彼の場合はちょうどそれなのです。ただ、彼のは日頃愛読する探偵小説から思いついた暗号通信によって、その目的を果そうとしたのですが、それが、不幸にも、彼の余り深い用心の為に、あの様な難解なものになってしまったのです。
それにしても、彼は自分自身の暗号を考え出した綿密さにも似あわないで、相手の暗号を解くのに、どうしてこうも鈍感だったのでしょう。自ぼれ過ぎた為めに飛んだ失敗を演じる例は、世に間々あることですけれど、これはまた自ぼれのなさ過ぎた為の悲劇です。何という本意ないことでしょう。
ああ、私は弟の日記帳をひもといたばかりに、とり返しのつかぬ事実に触れてしまったのです。私はその時の心持を、どんな言葉で形容しましょう。それが、ただ若い二人の気の毒な失敗をいたむばかりであったなら、まだしもよかったのです。しかし、私にはもう一つの、もっと利己的な感情がありました。そして、その感情が私の心を狂うばかりにかき乱したのです。
私は熱した頭を冬の夜の凍った風にあてる為に、そこにあった庭下駄をつっかけて、フラフラと庭へ下りました。