Japanische Klassiker mit Furigana
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にちろく
日録
山本 周五郎
Lesen Sie 日録 (にちろく) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.076 Zeichen · 11 Bildschirme
古い外国映画の三本立であるが、うしろ側の古い三つめの席にいる客が、前の席の背板へ両足をのせて見ていた。私の掛けている席の右、中一つおいた席へ足がにゅっとでているわけで、その汚れた逞ましい足から、汗と膏が匂ってくるように思われた。まもなく、五十がらみの小柄な紳士が――というのは背広を着て革鞄を抱えているということであるが――その「足の突出ている」シートへ腰を掛けた。紳士はむろんそのシートの背凭れに、うしろから足がのせられていることは認めたであろう。自分が掛ければ足は引込められる、と信じていたようすであった。ところが足は紳士の頭が触れてもぴくりともしない。一ミリも動かないのである。紳士はさも不快そうに振返って、うしろの席にいる豪傑をにらみ、自分の頭を「その足」からそらし、咳をし、舌打ちをした。つまり、うしろの席にいてそこへ足をのっけているところの豪傑に対して、その足を引込めろ、という意味のデモンストレーションを行なったのであるが、うしろの豪傑は蠅が触ったほどにも感じないらしく、その足をもっとぐあいよく置き直してみせた。そこでたまりかねたとみえ、紳士はその足を押しやりながら、振返って「おい君」