Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.172 Zeichen · 36 Bildschirme
あたしは、漸くものを書き出しうるようになりつつあった。遅まきながら築地にあった女子語学校の初等科に、十二三の少女たちと一緒になって英語をまなび出した。そのころ父は、一切の公職から隠退して、いくら勧められても出ず、まことに世捨て人のごとく、佃島の閑居に隠遁していたので、あたしは父の傍にいて、父を慰めながら、住吉の渡船をわたって通い、日本橋植木店の藤間の家元に踊りをならいなどして、劇作を心がけ、坪内先生によって新舞踊劇にこころざしていた。
四
そのころ、母も、まだ巣立たぬ弟妹たちのために、父にかわって、生活の保障をしようとして彼女の性分にあった働きをしていた。以前すこしばかり、其処を手に入れる時に、お金を用立てた人が死んで、その後家たちは、新橋で旅館をもとからの商業にしているので、丁度引受け手を探していた、箱根塔の沢の温泉をゆずってもらって、経営しはじめた。
馴れないことではあったが、母は働きずきであったし、客あしらいも知っているのに、父のまがつみを同情する知己の贔屓もあって、温泉亭家業は思いがけないほど繁昌した。それだけに、母も漸く、女も何か知らなければ、こんなことしか出来ないと悟った。