Japanische Klassiker mit Furigana
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はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Lesen Sie 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.707 Zeichen · 12 Bildschirme
そして、黙ったまま、幾つとなく並んでいる酒樽の中の一番上等なのを指さして、手にした、神前へ供えるような土焼きの銚子をうやうやしく差し出した。
「この酒ですか。一合ですね。」
こういって小僧が訊くと、女はやはり無言でうなずいて、そこへ代価を置いて、酒の入った徳利を捧げるようにして帰って行った。
あとでその小僧がこんなことをいった。
「長どん、雨が降っているとみえるね。」
「何をいってるんだよ。」長どんと呼ばれたもう一人の小僧は即座に打ち消した。「寝呆けなさんな。お星さまが出ていらあ。」
まったくそれは晴れ渡った夕方だった。未だどこかに陽の光が残っていて明日の好天気を思わせる美しい宵闇だった。
「そうかな。変だなあ。」
と初めの小僧は長どんの言葉を疑って、不審そうに首を捻っていたが、やがて自分で戸口へ行って戸外をのぞいた。
「どうでえ、たいした降雨だろう。」
うしろから長どんがひやかした。小僧は何にもいわずに二、三歩おもてへ出て、雨を感ずるように掌を上へ向けて、空を仰いだ。長どんは笑いだした。
「ははは、いくら見たって、この晴夜に雨が降るもんか。馬鹿だなあ、松どんは。