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Japanische Klassiker mit Furigana

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はやみみさんじとりものききがき

早耳三次捕物聞書

林 不忘

Lesen Sie 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.050 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

左手で握ってぐっと引き寄せ、肘を相手の腋の下へ挾むようにして持ち上げながら、右手で切る片抜手竜宮覗き。水下三寸、人間の顔は張子じゃないから濡れたって別条ない。それを無理に水から顔を上げようとするから間違いが起る。三次、女を引いて楽々岸へ帰った。

岸に立って舟よ綱よと騒いでいた連中、総掛りで引き上げてみると、水を多量に呑んだか、なにしろ寒中のことだから耐らない。女はすでに事切れていた。

近辺の者だから、皆一眼見て水死人の身許は知れた。材木町の煎餅屋渡世瓦屋伊助の女房お藤というのが、その人別であった。

三次が指図するまでもなく、誰か走った者があると見えて、瓦屋伊助が息急きって駈けつけて来た。伊助、初めは呆然として突っ立ったきり、足許の女房の死体を見下ろしていたが、やがてがっくりと膝をつくと、手放しで男泣きに哭きだした。集った人々も思わず提灯の灯を外向けて、なかには念仏を唱えた者もあった。

そのうちに、

「畜生ッ!」

と叫んで、伊助が起き上った。眼が血走って、顔は狂気のように蒼褪めていた。

「己れッ! おふじの仇敵だ――。」

ふらふらと歩き出そうとするのを、三次が抱きとめた。