Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかるいかいひん

明るい海浜

宮本 百合子

Lesen Sie 明るい海浜 (あかるいかいひん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.608 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

二

陽子が、すっかり荷物を持って鎌倉へ立ったのは、雪が降った次の日であった。春らしい柔かい雪が細い別荘の裏通りを埋め、母衣に触った竹の枝からトトトト雪が俥の通った後へ落ちる。陽子はさし当り入用な机、籐椅子、電球など買った。四辺が暗くなりかけに、借部屋に帰った。上り端の四畳に、夜具包が駅から着いたままころがしてある。今日は主の爺さんがいた。

「勝手に始末しても悪かろうと思って――私が持って行って上げましょう」

縞の着物を着、小柄で、顔など女のように肉のついた爺は、夜具包みや、本、食品などつめた木箱を、六畳の方へ運び入れてくれた。夫婦揃ったところを見ると、陽子は微に苦笑したい心持になった。薄穢く丸っこいところから、細々したことに好奇心を抱くところ、慾張りそうなところ、睦まじく互いにそっくり似合っている。

始めての経験である間借りの生活に興味を覚えつつ、陽子は部屋を居心地よく調えた。南向の硝子窓に向って机、椅子、右手の襖際に木箱を横にした上へ布をかけこれは茶箪笥の役に立てる。電燈に使い馴れた覆いをかけると、狭い室内は他人の家の一部と思えないような落付きをもった。