Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.713 Zeichen · 54 Bildschirme
「盗まれたんだわ。思い当ることがあるの。朝の八時ごろオトメさんが押しかけてきたのよ。旦那様が今日殺されるお告げがあったからですッて。そして、死神おとしの変なオイノリをして立ち去ったのよ。オトメさんの手は小卓の上をクネクネと舞っていたけど、私はそのときカギのことは考えていなかったの。私は今朝からカギを注意したことがなかったのです。自分でカギをあけてお部屋へ出入する必要もなかったから」
「誰だって必要のない物には注意を忘れがちだわ」
と、成子は軽くうなずいて言った。
「オトメさんがカギを盗んでも病人の前でオイノリするぐらいでしょう。一度使って気がすめば返してくれるでしょう」
成子はこう笑って、この問題にケリをつけた。話題を転じて、質問した。
「織物の行商人は何しに来たの?」
「私は別室にいたから分らない」
「たしかに変ったことがあったと思うな。私がここへ来ての三年間に、今日だけがいつもと変りのあるたった一日だったから」
「何が変っていたの?」
「今日一日だけ、病人の心が浮き浮きしていたのよ。私はハッキリ認めたのよ」
ナミ子は同感とまでは行けなかった。そんなに浮き浮きしていたろうか。