Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.713 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

病人の昼食はトースト三片と紅茶で、大伍がその世話をしてやるのだが、控えの間に用意のパンはそのままに置きッ放しであった。

「コンコンとおやすみだから、今日はほッとくがよい」

大伍は習慣にこだわらなかった。ナミ子もこだわらなかった。ナミ子は助手で、看護人ではないのだから、根をつめて控えの間に詰めきる必要はない。日中は大伍の勤務御時間だ。ナミ子は自分の昼食に下りて、その後は概ね女中部屋にいたが、ふと大伍の部屋の前を通ったら、彼の大イビキがきこえた。

ナミ子は気がかりになって、午後は二度だけ二階へ登ってみたが、控えの間に大伍の姿も他の誰の姿も見かけなかった。そして昼食のパンは夜がきても卓上に置かれたままであった。

夕方の七時になった。夕食の用意ができた。大伍はようやく寝ぼけ眼をこすッて起きてきたから、

「私が旦那様に御食事を差上げます」

と大伍のカギをかりで、二階へ夕食を運んだ。日中は誰も便器も見てあげなかったようだから一パイつまって臭いかな、と案じながら、まずドアをあけて燭台をかかげて病人のゴキゲン偵察に中をのぞきに行った。これから夏になるとだんだんウミの臭気がひどくなる。