Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.713 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

五万円おろして使者大伍氏に渡してくれという手紙ですな。むろん私はその手紙のようにしてやりました。彼は昨日の朝九時半ごろにはこの部屋で五万円受けとっている筈ですよ」

「そうでしたか。すると、八時半には彼はまだ生きていたし、そのとき新しくスミをすったに相違ない」

新十郎の返答はスミの方にこだわっていた。しかし、川田のすました顔を見て、彼が何かを語りたがっていることを新十郎は見つけだした。そこで云った。

「で、その五万円が病人には特に必要な事情があったのですね。むろん、そうにきまっていますが、その事情を御存知でしょうか」

「私はバンカーにすぎませんから、彼の求めによって五万円さげてやっただけです。事情はたぶん故人の弟の大伍君、つまり銀行へ来た使者の人ですが、彼が知っているでしょう。しかし、三万円でも十万円でもフシギではないが、五万円という金額はちょッとタダではない。五万円に限って、彼のウミの匂いのようになんとなく臭いようですよ」

「それは?」

「結城さんは洋行からお帰りになって間もないから御存知ないかも知れませんが、あれは今から四五年前になりましょうか。一色又六の事件を御存知でしょうか」