Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.839 Zeichen · 55 Bildschirme
カモ七を見ると探偵たちは異様の感にうたれた。カモ七の目は流れていなかったが、顔全体が流れているようなものだった。どこにもシマリがない。何かが留守でなければ、こんな顔にはならないだろう。ところが一ツだけ目ざましく雄大で生気があるのは二ツの耳であった。カモ七の頭の中央がピョコンと尖っていなければ、頭と耳の高さが同じぐらいであろう。その幅もカシワモチが包めるぐらい広かったが、しかしウスッペラではなくて人目にふれずに見事に天寿を全うしたキノコのように肉ヅキがふくよかであった。この耳を育てるためにうまれてきたように見え、彼の全体が鉢植えのキノコ、たしかに植物のように見えた。
カモ七は一同にオジギすることを忘れていた。彼が警察へきたとき、ちょうどオタツとナガレ目の第何回目かの対決中であったから、彼はのぼせて、道々言い含められたことを忘れたのかも知れない。菅谷巡査にこづかれると、彼は切なそうに、
「オタツ、やせたなア」
と涙ぐましい声をふりしぼった。それは何物も思い出せなかった代りに、あまりの切ない現実に目をうたれた真情をあらわしていたが、誰の目にもオタツのやせた様子は認められないので、タンテイたちはギョッとして、これから、どうなることかと思った。