Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.242 Zeichen · 65 Bildschirme

Aozora Bunko

「東太の膝の横手です」

「兄さんの前ではありませんか」

「いいえ。そこは兄の前にも当りますけど、兄は一膝ぶんぐらいひッこんでおりましたから、東太の膝にすぐ近く、兄の膝からは二尺ちかい距離は離れておりましたろう。特に気をつけてそこへ置きました」

「なぜ特に気をつけたのですか」

「二十年前を再現すること、したがって、兄のためではなく、東太が亡父の身代りですから」

「二十年前には、二人はお茶をのんだでしょうか」

「覚えがありません」

「東太さんはのみましたか」

「いいえ」

「よく覚えていますね」

「居眠りしていて、お茶がそこにあることを知らなかったと思います。ソノがドビンを持って茶をいれ代えにきたとき、東太の茶ワンは手づかずに茶が残っていました」

「そう、そう。ソノもそう申していましたよ。その後はどうでしたでしょう」

「その後のことは記憶しません」

「茶に食塩を入れるのは、いつごろからの習慣ですか」

「私が当家に嫁しましたとき、すでに当家の習慣でした」

「甚八はお茶を一息にのみほしたそうですが、あなたは見ましたか」

「見たような気もしますが、そうでないような気もします」

「あなたは、いま、何が一番気がかりですか」