Japanische Klassiker mit Furigana
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むかしのかじ
昔の火事
宮本 百合子
Lesen Sie 昔の火事 (むかしのかじ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.494 Zeichen · 21 Bildschirme
そういうとき猛之介は決して、ここだぞウと返事はしない。縞の前垂をかけて小さい丸髷に結ったセキが、ああなアんだ、そこけ、と近づいて来るのを猛之介はこちらに立って見据えていたが、セキは又どういうものかきょうはいつものように顔の見えたところから大声でがなって来ず、すっかり猛之介のそばへよるまで黙っていて、しかも四辺を憚る気配で囁いた。昭和合金さ売った地面から、何か出るんだとよ。人よせが始まってるとよ。――おら始めて今聞いたが。
顎をひく表情でそれをきいていた猛之介は、黙ったまま大きく両方の掌をうちあわせて塵を払うと、そのまま畑から出かけた。
行ってみると、注進どおり合金の庶務という男と、請負の現場監督と、人夫頭と、ほかにこれまで見たことのない洋服の若い男が三人、もう地下げの済んでいる地点にかたまっている。紺の服を着たおとなしそうな若い男が、そこから拾って来た枝の先で、地べたの上をさしながら何か説明している。猛之介の現れたときにはそれが殆ど終って、庶務の男が、ふーん、そういうものだとは知らなかった。こんなにかたまってあるのは珍しいんですかね。いや、きっと承知しますよ。