Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしあかり
星あかり
泉 鏡花
Lesen Sie 星あかり (ほしあかり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.178 Zeichen · 9 Bildschirme
町を離れてから浪打際まで、凡そ二百歩もあった筈なのが、白砂に足を踏掛けたと思うと、早や爪先が冷く浪のさきに触れたので、昼間は鉄の鍋で煮上げたような砂が、皆ずぶずぶに濡れて、冷こく、宛然網の下を、水が潜って寄せ来るよう、砂地に立ってても身体が揺ぎそうに思われて、不安心でならぬから、浪が襲うとすたすたと後へ退き、浪が返るとすたすたと前へ進んで、砂の上に唯一人やがて星一つない下に、果のない蒼海の浪に、あわれ果敢い、弱い、力のない、身体単個弄ばれて、刎返されて居るのだ、と心着いて悚然とした。
時に大浪が、一あて推寄せたのに足を打たれて、気も上ずって蹌踉けかかった。手が、砂地に引上げてある難破船の、纔かにその形を留めて居る、三十石積と見覚えのある、その舷にかかって、五寸釘をヒヤヒヤと掴んで、また身震をした。下駄はさっきから砂地を駆ける内に、いつの間にか脱いでしまって、跣足である。
何故かは知らぬが、この船にでも乗って助かろうと、片手を舷に添えて、あわただしく擦上ろうとする、足が砂を離れて空にかかり、胸が前屈みになって、がっくり俯向いた目に、船底に銀のような水が溜って居るのを見た。