Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lesen Sie 星女郎 (ほしじょろう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.344 Zeichen · 104 Bildschirme
由緒ある塚か、知らず、そこを旅人の目から包んでいた一叢の樹立も、大方切払われたのであろう、どこか、あからさまに里が浅くなって、われ一人、草ばかり茂った上に、影の濃いのも物寂しい。
それに、藁屋や垣根の多くが取払われたせいか、峠の裾が、ずらりと引いて、風にひだ打つ道の高低、畝々と畝った処が、心覚えより早や目前に近い。
が、そこまでは並木の下を、例に因って、畷の松が高く、蔭が出来て涼いから、洋傘を畳んで支いて、立場の方を振返ると、農家は、さすがに有りのままで、遠い青田に、俯向いた菅笠もちらほらあるが、藁葺の色とともに、笠も日向に乾びている。
境は急に心細いようになった。前にも後にも、往来の人はなかったのである。
偶と思出したことがあって、三造は並木の梢――松の裏を高く仰いで見た。鵲の尾の、しだり尾の靡きはせずや。……
二
往年、雨上りの朝、ちょうどこの辺を通掛った時、松の雫に濡色見せた、紺青の尾を豊に、樹の間の蒼空を潜り潜り、鵲が急ぎもせず、翼で真白な雲を泳いで、すいと伸し、すいと伸して、並木の梢を道づれになった。可懐いその姿を見るのも、またこの旅の一興に算えたのであったから――それを思出して窺ったが……今日は見えぬ。