Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lesen Sie 星女郎 (ほしじょろう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.344 Zeichen · 104 Bildschirme
ト境の方に立ったのが、心持身体を開いて、頬の皺を引伸すような声を出した。
「この人はや。」
「おいの。」
と皺枯れた返事を一人が、その耳の辺の白髪が動く。
「どこの人ずら。」
「さればいの。」
と聞いた時、境は早や二三間、前途へ出ていた。
で、別に振り返ろうともしなかった――気に留めるまでもない、居まわりには見掛けない旅の姿を怪しんで、咎めるともなく、声高に饒舌ったろう、――それにつけても、余り往来のないのは知れた。
けれども、それからというものは、遠い樹立の蔭に、朦朧と立ったり、間近な崖へ影が射したり、背後からざわざわと芒を掻分ける音がしたり、どうやら、件の二人の媼が、附絡っているような思がした。ざっと半日の余、他に人らしいものの形を見なかったために、何事もない一対の白髪首が、深く目に映って消えなかった、とまず見える。
四
蜩が谷になって、境は杉の梢を踏む。と峠は近い。立向う雲の峰はすっくと胴を顕わして、灰色に大なる薄墨の斑を交え、動かぬ稲妻を畝らした状は凄じい。が、山々の緑が迫って、むくむくとある輪廓は、霄との劃を蒼く、どこともなく嵐気が迫って、幽な谷川の流の響きに、火の雲の炎の脈も、淡く紫に彩られる。