Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「こういうときには落ち着くに限る」
彼は更に二服目の煙草を吸った。表を駈けてゆく足音はいよいよ騒がしくきこえた。
一三
料理屋の勘定をすませて吉五郎は表へ出ると、江戸川の方角へむかって見物の弥次馬が駈けてゆく。吉五郎は目立たぬように頬かむりをして、その弥次馬の群れにまぎれ込んで行くと、江戸川橋から桜木町の河岸へかけて、大勢の人が押し合っていた。検視の役人がまだ出張しないので、死骸は岸の桜の下へ引き揚げたままで荒莚を着せてあった。吉五郎はそっと眼をくばると、人込みのなかに兼松のすがたが見いだされた。市川屋の源蔵もまじっていた。
「御賄屋敷の娘さんと云うじゃありませんか」
「瓜生さんのお嬢さんだそうですよ」
「なんでも二、三日前から家出をしていたんだと云うことですがね」
「身投げでしょうか、殺されたんでしょうか」
口々に語り合っている弥次馬の噂を聴きながら、吉五郎はなおもあたりに眼を配っていると、十三、四歳らしい武家の娘と、十八、九ぐらいの女中らしい女とが息を切って駈け付けて来た。
「ちょっと御免ください」
諸人を押し分けて死骸のそばへ進み寄ると、あたりの人々は俄かに路を開いた。