Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「いいえ、それがおかしいので……」
お秋は更に声を低めたが、とぎれとぎれに聞こえる話の様子では、かの白い蝶の一件について訴えているらしい。いずれにしても、お勝も床に就いたのである。
「まあ、そんなことがあったのかえ。お北はなんにも云わないので、わたしはちっとも知らなかったが……」と、お由は不安らしく云った。「そうすると、お勝さんもお北も唯の風邪じゃあ無いのかしら」
それから後は又もや声が低くなったが、やがてお秋が台所へさがり、お由は立って父の居間へ行ったらしかった。そのうちに、お北は又うとうとと眠ってしまったので、その後のことは知らなかったが、ふたたび眼をさますと、もう日が暮れていた。
このごろの癖で、夕方から又もや寒い風が吹き出したらしく、どこかの隙間から洩れて来る夜の風が枕もとの行燈の火を時々に揺らめかしていた。
お北が枕から顔をあげると、行燈の下には母のお由がやはり不安らしい眼色をして、娘の寝顔を窺うように坐っていた。
「どうだえ、心持は……」と、お由はすぐに訊いた。「少しは汗が取れましたかえ」
云われて気がつくと、お北の寝巻は汗でぐっしょりと濡れていた。