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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

云うまでもなく、これは一種の精神的拷問である。こうして無言の時を移しているあいだに、うしろ暗い人間はだんだんに弱って来て、果ては堪えられなくなるのである。元来が図太い人間は、更にそのあいだに度胸を据え直すという術もあるが、大抵の人間はこの無言の責め苦に堪え切れないで、結局は屈伏することになる。鉄造もこの拷問に堪えられなくなって来たらしく、手酌でむやみに飲みはじめた。

相手が思う壺にはまって来たらしいのを見て、吉五郎はいよいよ沈黙をつづけていると、鉄造も黙って飲んでいた。代りの徳利が三、四本も列べられた。

「どういうものか、きょうは酔わねえ」と、鉄造はひとり言のように云いながら、吉五郎の顔を見た。

吉五郎はじろりと見返ったが、やはり黙っていた。鉄造も黙って又飲んでいたが、やがて再び口を切った。

「おめえはもう飲まねえのか」

吉五郎は答えなかった。鉄造も黙って又飲んだが、やがて更に云い出した。

「おい、おれ一人で飲んでいちゃあ、なんだか寂しくっていけねえ。おめえも飲まねえかよ」

吉五郎はやはり答えなかった。鉄造も黙って手酌で又飲んだが、徳利や猪口を持つ手が次第にふるえ出した。