Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
年のころは三十前後、どこかの国者であることはひと目に判ります。こんな人間が江戸城の玄関へ来て、天下を渡せなぞという以上、誰が考えても乱心者としか思われません。この時代でも、相手が気違いとなれば役人たちの扱いも違います。本気の者ならばすぐに取り押さえて縄をかけるのですが、気違いである上に、仮りにも東照宮のお使と名乗る者を、あまり手荒くすることも出来ない。ともかくも一応はなだめて連れて行って、それから身許その他の詮議をしようとすると、男はなかなか動かない。東照宮を笠に着て、なんでも天下を渡せと強情に云い張っているので、役人たちも持て余しました。
場所が場所ですから、こんな人間をいつまで捨てて置くわけには行きません。宥めても賺しても肯かない以上、いくら気違いでも、東照宮のお使でも、穏便に取り扱っていては果てしが無い。二人の役人が両手を取って引き立てようとすると、そいつは力が強くて自由にならない。とうとう大勢が駈け集まって暴れる奴を押さえ付けて縄をかけてしまいました。まったく斯うするよりほかはありません。本人は口を結んでなんにも云いませんが、その笠の裏に武州川越次郎兵衛と書いてありました。