Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
そんなわけですから、ここでは渋谷としてお話をいたします。長谷寺が麻布にあることを知らねえかなぞと、どうぞお叱りのないように願います。
このお開帳は大そう繁昌しました。なにしろ京の清水といえば昔から有名であり、長谷寺も江戸では有名であり、しかも時候は三月の桜どきで、郊外散歩ながらの御参詣にはお誂え向きというわけですから、繁昌したのも無理はありません。例によって奉納の造り物がいろいろ出来ました。そのなかでも評判になったのは五尺あまりの大兜で、鉢も錣もすべて小銭を細かく組みあわせて作ったのでした。これは珍らしいと云うので大変な評判。これだけの兜をこしらえるには、何貫文の銭が要るだろうなぞと、余計な算当をしながら見とれているのもある。
もちろん銭ばかりでは全体が黒ずんでしまって、兜の色の取り合わせが悪いので、前立てや吹き返しには金銀の金物をまぜてありました。金物と云ってもやはり本物で、金は慶長小判、銀は二朱銀を用いていましたから、あの小判が一枚あればなぞと涎を流して覗いているのもある。なにしろ金銀を取りまぜた大兜が、春の日にきらきらと光っているのですから、参詣人の眼をおどろかしたに相違ありません。