Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「そうでございます」と、幸之助はうなずいた。
「え、ほんとうに出ましたか、白い蝶が……」
「護国寺前……東青柳町に野上佐太夫というお旗本がありますそうで……。わたくしは昨今こちらへ参りましたのでよくは存じませんが、三百石取りのお屋敷だとか承わりました。昨夜の五ツ過ぎに、大塚仲町辺の町家の者が二人連れで、その御門前を通りかかりますと、例の白い蝶に出逢いましたそうで……」
「ふうむ」
長八は唸るような溜め息をつきながら、相手の顔をながめていると、幸之助は更に説明した。
その二人連れは大塚仲町の越後屋という米屋の女房と小僧で、かの野上の屋敷の門前を通り過ぎようとする時に、暗闇のなかから一羽の蝶が飛び出した。そうしてひらひらと女房の眼のさきへ舞って来ると、女房は声も立てずに其の場に悶絶した。小僧は途方に暮れてうろうろしている処へ、幸いに通り合わせた人があったので、共々に介抱して近所の辻番所へ連れて行くと、女房は幸いに正気に復ったが、自分にもどうしたのかよくは判らない。ただ眼のさきへ大きい白い蝶が飛んで来たかと思うと、たちまち夢のような心持になってしまって、その後のことは何も知らないと云うのであった。