Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
幸之助と姉とは今頃どうして其処らに徘徊しているのであろう。途中で偶然に行きあって何かの立ち話をしているのか。あるいは約束の上でそこに待ち合わせていたのか。前者ならば別に仔細もないが、後者ならば容易ならぬ事である。幸之助は黒沼家の婿養子となって、いまだ祝言の式さえ挙げないが、お勝という定まった妻のある身の上である。その幸之助と自分の姉とが密会する――万一それが事実であって、その噂が世間にきこえたならば、二人は一体どうなることだろう。いずれにしても一と騒動はまぬがれまい。
それを考えながら、長三郎は暫く遠目に眺めていると、お冬は訴えるように又ささやいた。
「あのおふたりは、このごろ時々に……」
「きょうばかりでは無いのか」と、長三郎はいよいよ不安らしく訊いた。
お冬はうなずいた。ゆうぐれの寒さが身にしみたように、長三郎はぞっとした。自分は中間と町人のあとを尾けて来たのであるが、長三郎はもうそんな事は忘れてしまったように猶も横町をながめていると、その思案の顔に鬢のおくれ毛のほつれかかって、ゆう風に軽くそよいでいるのを、お冬は心ありげに見つめていた。
目白の不動堂で暮れ六ツの鐘を撞き出したので、それに驚かされたように、幸之助とお北の影は離れた。