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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜は二人とも武器を用意して、茂八は商売用の小さい鑿をふところに呑んでいた。喜平も小刀をかくし持っていた。

宵闇ではあったが、今夜の大空には無数の星がきらめいていた。その星あかりの下に、この頃はもう散りはじめた堤の柳が夜風に乱れなびいているのも、素袷のふたりを肌寒くさせた。五ツ(午後八時)を過ぎ、四ツ(午後十時)を過ぎても、今夜はそこに何の不思議も見いださないので、かれらは少し退屈して来た。

「どうだい、いっそ山のなかへ這入ってみようか」と、茂八は云い出した。

「はいろうか」

ふたりは思い切って、この暗い夜の清水山へ踏み込むことになった。もとより深い山ではないが、前にも云ったような事情で久しく鎌を入れたことがないので、ここには灌木や秋草が一面に生い茂って、闇の底から白い薄の穂が浮き出したように揺らめいているのも、場所が場所だけになんとなく薄気味悪くも思われた。二人は着物の裾をからげて、用意の武器をとり出して、息を殺してその薄のなかを掻きわけて行くと、その響きにおどろかされたのか、忽ちがさがさという音がして、一匹の獣のようなものが草の奥から飛び出して来たので、喜平も茂八もぎょっとして立ちすくんだ。