Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
どっちの方角へ逃げたかは知らないが、逃げる方は一生懸命だから、一日おくれては容易に追い着かれそうもない。どうしたものかと思案しながら、幸次郎と一緒に錺屋を出て、両国の方へぶらぶら引っ返して来ると、仮橋の中ほどに一人の男が突っ立って、ぼんやりと水をながめている。その年頃や人相風俗が彼の宗兵衛によく似ているので、つかつかと寄って『おい、宗兵衛』と声をかけると、男は二人を見て慌てた様子で、一旦は川へ飛び込もうとしたらしいんですが、夜と違って昼間のことですから、川には石や材木を槙んだ船が幾艘も出ている。人足や船頭も働いている。そこへ飛び込むことも出来なかったと見えて、引っ返して西両国の方へ逃げて行く。二人は追っかけて行く……。逃げる奴は何分にも素人の悲しさ、気ばかり焦って体が前へ泳いでいるので、ちょいと蹉くとすぐに突んのめる。男が何かにつまずいてばったり倒れたところを、二人がすぐに取り押えました。
それが丁度、橋番の小屋の前でしたから、おやじの久八を呼んで首実検をさせると、毎日この橋の上へ来て大川を眺めていた男は、たしかにこいつに相違ないというので、もう一言もなく恐れ入ってしまいました。