Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
孫十郎は首を長くして毎日待ちわびていたが、どこからもそれらしい人は来なかった。もしや店の名を忘れたのではあるまいかと、孫十郎は再びかの仮面をとり出して、店さきの最も見易いところに懸けて置かせたが、それに引き寄せられて来る者はなかった。十日をすぎ、半月を過ぎて、孫十郎はまた罵った。
「畜生……。一杯食わせやがった」
前の能役者と武士とは同類で、あらかじめ申し合わせてこの狂言をかいたのであろう。なまじいに商売気を出したのと、かの武士の愁嘆に同情したのとで、自分は二十五両という金をやみやみ騙り取られたのである。こう気がつくと、孫十郎は白髪が一本ずつ逆立つように口惜しがって憤ったが、今更どうすることもできなかった。殊にこの事件は最初から自分ひとりで応待したのであるから、誰を責めるわけにも行かなかった。
商売のわずらいと一旦はあきらめても、彼はやはり諦め切れなかった。かれはその後幾日か考えつめた末に、神田の半七のところへ駈け込んだ。
「なに、その罪人はすぐに知れましたよ」と、半七老人は云った。「しかし少々勘違いであったのは、前の能役者と後の若侍と、なんにも係り合いのないことでした。