Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
第一この絵馬には奉納主の名が書いてないので、誰が納めたものか昔から判らなかったんですが、その慶安四年から六七十年の後、享保年間に八代将軍が当社へ参詣なされたことがあるそうで、その時にこの絵馬を仰いで、これは正雪の自筆であるぞと云われた。将軍はどうして正雪の書画を知っていられたか知りませんが、その以来、この絵馬は由井正雪の奉納であるという事になったんだそうです。そう判ったらば、正雪は徳川家の謀叛人ですから、その奉納の絵馬なぞは早速取り捨ててしまいそうな筈ですが、その後もやはり其の儘に懸けられてあったのを見ると、将軍が果たしてそんなことを云ったかどうだか、ちっと怪しいようにも思われますが、ともかくも江戸時代には正雪の絵馬として名高いものでした。わたくしが見たのは江戸の末で、慶安当時から二百年も経っていましたから、自然に板の木目が高く出て、すこぶる古雅に見えました。さてその絵馬について、こんなお話があるんですよ。
こんにちでも諸方の神社に絵馬が懸けてありますが、むかしは絵馬というものがたいへんに流行したもので、江戸じゅうに絵馬専門の絵馬屋という商売が幾軒もありまして、浅草茅町の日高屋なぞは最も旧家として知られていました。