Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
追いかけて又呼びながら、しつこくその袂を捉えようすると、女はやはり黙って振り返った。白い手ぬぐいの下からあらわれた女の顔は青い鬼であったので、酔っている中間はぎょっとした。さすがにその場で気絶するほどでもなかったが、小半町ばかり夢中で逃げ出して、道ばたの小石につまずいて倒れたまま暫くは起きることも出来なかった。かれはその晩から大熱を発して苦しんだ。
こういう噂がそれからそれへと伝えられて、このごろ清水山のあたりにあらわれる女は夜鷹のたぐいではない、まったく何かの怪異に相違ないということになった。前にもいう通り、元来が一種の魔所のように恐れられている場所だけに、それが容易に諸人にも信じられて、近所の湯屋や髪結床では毎日その噂がくり返された。それに又いろいろの作り話も加わって、かの女は清水山の洞穴に年ひさしく棲む大蛇の精であるなどと、云いふらす者も出て来た。いや、大蛇ではない。堤に年ふる柳の精であるなどと、三十三間堂の浄瑠璃からでも思いついたようなことを、まざまざしく説明する者もあらわれて来た。
こんにちと違って、江戸時代に妖怪の探索などということはなかった。