Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
「いや、それでも人違いだ。女は若狭屋のお糸じゃあねえ」
「そうでしょうか」と、松吉は不得心らしい顔をしていた。
「といって、まさかに狐でもあるめえ。それにしても、巳之助をなぐった奴は何者だろうな」と、半七は又かんがえた。「それから京の奴らをおどかしたのは、天狗だと云ったな。まさかに仮面をかぶっていたのじゃああるめえ」
「いくら臆病でも、大の男が三人揃って、みんな提灯を持っていたというんですから、仮面をかぶっていたらさすがに気がつく筈ですが……」
「理窟はそうだが、世の中には理窟に合わねえことが幾らもあるからな。まあ、おれも一度踏み出してみよう。あしたの朝、一緒に行ってくれ」
あくる朝はいわゆる皐月晴れで、江戸の空は蒼々と晴れ渡っていた。朝の六ツ半(午前七時)頃に松吉が誘いに来たので、半七は連れ立って出た。
「出がけに小伊勢に寄りますか」と、松吉は訊いた。
「狐に化かされた野郎の詮議はまあ後廻しだ。真っ直ぐに浜川まで行こう」
品川を通り過ぎて浜川へかかると、丸子という小料理屋がある。ここは先夜、小伊勢の巳之助が転げ込んだ家である。半七はここへ寄って、当夜の模様などを詳しく訊いた。