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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほほほほほほ」

女中は銚子をかえに立った。そのうしろ姿を見送って、松吉はささやいた。

「成程、親分の眼は高けえ。人ちがいの相手は坂井屋のお糸ですね」

「まあ、そうだろう。そのお糸が黒船のマドロスと出来合って逃げたらしいな」

「それを自分の馴染の女と間違えるというのは、巳之助という奴もよっぽどそそっかしい野郎だ」

「野郎もそそっかしいが、女も女だ。まあ、待て。それには何か訳があるだろう」

女中が再びあがって来たので、半七はまた訊き始めた。

「おい、姐さん。駈け落ちをしたお糸には、なにか色男でもあったのかえ」

「それはよく知りませんが、近所の伊之さんと……」

「伊之さん……。伊之助というのか」

「そうです。建具屋の息子で……。その伊之さんと可怪しいような噂もありましたが、伊之さんは相変らず自分の家で仕事をしていますから、一緒に逃げたわけでも無いでしょう」

「お糸の宿はどこだ」

「知りません」

まったく知らないのか、知っていても云わないのか、女中はその以上のことを口外しないので、半七も先ずそれだけで詮議を打ち切った。しかもここへ来て判ったことは、若狭屋のお糸は坂井屋のお糸の間違いである。