Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
すぐ出て来てくれ」
「はい、はい」と、伊之助は鉋屑をかき分けながら出て来た。彼はきのうも松吉に嚇されているので、きょうはその親分が直々の出張にいよいよおびえているらしかった。
「ここじゃあ話が出来ねえ。ちょいと其処らまで足を運んでくれ」
松吉と熊蔵を店に待たせて置いて、半七は伊之助ひとりを連れて出た。五、六軒行くと細い横町がある。その横町を右に切れるとすぐに畑地で、路ばたに石の庚申像が立っている。それを掩うような楓の大樹が恰好の日かげを作っているので、半七はそこに立ちどまった。
「早速だが、おめえはまったく坂井屋のお糸のゆくえを知らねえのか」
「知りません」と、伊之助はうつむきながら答えた。
「お糸は坂井屋へ遊びに来る異人に馴染でもあった様子か」
「坂井屋へは異人が大勢来ますが、お糸に馴染があるかどうだか、それは存じません」
「おめえは異人に自分の女を取られたのじゃあねえか」
伊之助は黙っていた。
「おめえは坂井屋へ手伝いに来るお此という女を知っているだろうな」
「知っています」
伊之助の声が少しふるえているのを、半七は聞き逃がさなかった。
「あの女も異人を知っているのだろうな」