Japanische Klassiker mit Furigana
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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
Lesen Sie 時計屋敷の秘密 (とけいやしきのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.481 Zeichen · 74 Bildschirme
今この村に生きている者で、誰もこの時計が動くのを見た者がなかった。
この時計屋敷が、いつ、そこに建てられたのかそれを知っている人は、あまり多くなかった。それは明治維新の前後に出来たもので、どこの国の白人かはしらないが、ヤリウスという鼻の高い赤いひげのからだの大きな人が、そこへあれを建てたということだ。
一説に、そのヤリウスは、白人と日本人の混血児だとも伝えられていて、この方が正しいのかもしれないと思われる。
とにかくそのヤリウスは、百五十人ばかりの人を連れて来て、その建築工事をはじめた。左内村の人たちは、ぜひその仕事にやとってもらいたくて、代々庄屋の家柄の左平をはじめ若者たちもその工事場へいってたのんだのであったが、ヤリウスは首を左右にふって、左内村の人間をただ一人もやといいれなかった。村人は、がっかりし、そしてヤリウスをうらみ、時計台をにらみつけては新築屋敷のことをのろった。
建築は手間どって、春から始めた工事がすっかり出来上ったのは、夏も過ぎ、秋もたけ、木枯の吹きまくったあとに、白いものがちらちらと空から落ちて来る冬の十二月はじめだった。さかんな新築祝いの宴が、時計屋敷で三日三晩にわたって行われたのち、百五十人の建築師たちは、村人にあいさつもせず、風のようにこの土地を去った。