Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じかん

時間

横光 利一

Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで私達は火を焚こうにも誰もマッチがないのだからどうしようもなくそれぞれ羽織を脱いで庭に敷くと真中に病人を坐らせ、その周りに三人の女を置いて男達はその外から手を拡げながら丁度蕗の薹(とう)のように女達を包んで互に温度を保ち合った。しかし、私達の上に新しく襲いかかって来た寒気はそれだけでは納まらずますます激しくなって来ると、やがて一団のものは歯が打ち合ってかちかちと鳴り始め、言葉がうまくいえなくなって吃りばかりになり、泣き出すものがあっても涙だけがしきりに出るだけで、ただもうびりびり、びりびりとまるで揺られる海月(くらげ)みたいに慄え続けているだけだが、そのうちに中央にいる病人だけはもう慄える力もなくなって皆の慄える中で一人じっと縮んでしまって動かない。その周囲で女達は自分が死んだら髪を切って母親のところへ送ってくれるよう、もうとてもこれ以上は身体が保たないといい出すものがあるかと思うと、自分ももう駄目だから死んだら親指を切って郷里へ送ってくれとか眼鏡を送れとか、そんなことをいってるうちに膝がしびれる腰がしびれるやがて首まで痛んで来ると、栗木が急にしくしく泣き出して、自分が若いときに村の神さまへ石を投げつけたことがあるその罰が来たんだといい出した。