Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎゃっこう

晩年

太宰 治

Lesen Sie 晩年 (ぎゃっこう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.459 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

いかなることか、私は幼いときからこの婆様が大好きで、乳母から離れるとすぐ婆様の御懐に飛び込んでしまったのでございます。もっとも私の母様は御病身でございました故、子供には余り構うて呉れなかったのでございます。父様も母様も婆様のほんとうの御子ではございませぬから、婆様はあまり母様のほうへお遊びに参りませず四六時中、離座敷のお部屋にばかりいらっしゃいますので、私も婆様のお傍にくっついて三日も四日も母様のお顔を見ないことは珍らしゅうございませんでした。それゆえ婆様も、私の姉様なぞよりずっと私のほうを可愛がって下さいまして、毎晩のように草双紙を読んで聞かせて下さったのでございます。なかにも、あれあの八百屋お七の物語を聞いたときの感激は私は今でもしみじみ味うことができるのでございます。そしてまた、婆様がおたわむれに私を「吉三」「吉三」とお呼びになって下さった折のその嬉しさ。らんぷの黄色い燈火の下でしょんぼり草双紙をお読みになっていらっしゃる婆様のお美しい御姿、左様、私はことごとくよく覚えているのでございます。

とりわけあの晩の哀蚊の御寝物語は、不思議と私には忘れることができないのでございます。