Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんきく
晩菊
林 芙美子
Lesen Sie 晩菊 (ばんきく) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.998 Zeichen · 32 Bildschirme
きんは、がっかりした気持ちで、しゅんしゅんと沸きたっているあられの鉄瓶を取って茶を淹れた。「二十万位でもどうにかならない? 恩にきるンだがなア……」「おかしな人ね? 私にお金のことをおっしゃったって、私にはお金のない事よく判っていらっしゃるじゃないの……。私がほしい位のものだわ。私に逢いたい為に来て下すったンじゃなく、お金の話で、私のとこへいらっしたの?」「いや、君に逢いたい為さ、そりゃア逢いたい為だけど、君になら、何でも相談が出来ると思ったからなンだよ」「お兄様に相談なさればいいのよ」「兄貴には話せない金なンだ」きんは返事もしないで、ふっと、自分の若さも、もうあと一二年だなと思う。昔の焼きつくような二人の恋が、いまになってみると、お互いの上に何の影響もなかった事に気がついて来る。あれは恋ではなく、強く惹きあう雌雄だけのつながりだったのかも知れない。風に漂う落葉のようなもろい男女のつながりだけで、ここに坐っている自分と田部は、只、何でもない知人のつながりとしてだけのものになっている。きんの胸に冷やかなものが流れて来た。田部は思いついたように、にやりとして、「泊ってもいい?」