Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばんさん

晩餐

素木 しづ

Lesen Sie 晩餐 (ばんさん) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.410 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

首をかたむけて眼を伏せながら、そして、そこにはたゞ静かななつかしみと、許しとが彼等をつつんでゐるやうに見えた。そしてまたそこには深い/\安らかさが彼等のすべてに表はれてゐるのであった。

世の中の總ての事、人生は過去るであらう。そして過去った其日に初めて總てが、總ての事が懐しみと許しとに変る事だらう。そして其時彼等は永久に夜の様な安息の前にあるのであった。

遠い絵が暗く静かに、彼女の眼の底に映ってゐた。また瞳の底を通して遠く未来に、淋しい安らかさを持って、その絵が見えるのであった。若い彼女は一人で淋しいひそかな溜息をついた、そして、とり散らされたテーブルの上と、夫と子供の顔をちらと見ながら黙ってゐた。

『どうして黙ってるの。』男は、ふと不思議さうに女の顔を見て声をかけた。彼女は、あわてゝなにかを云はうとしたが、一口には何事も云ひかねて黙ってしまふと、再びその眼が遠く走ってしまった。そして彼女は、また幻の絵を見たのだった。彼女は、その時はじめて戸の外の嵐の音を、静かに耳にした。彼女はなにも云はずにゐた。

さうだ。あの日があるのだ。あのすべてがなつかしみと許しと、安らかさに変る日があるのだった。