Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえこのはんしょう
智恵子の半生
高村 光太郎
Lesen Sie 智恵子の半生 (ちえこのはんしょう) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.697 Zeichen · 25 Bildschirme
其の頃上高地に行く人は皆島々から岩魚止を経て徳本峠を越えたもので、かなりの道のりであった。その夏同宿には窪田空穂氏や、茨木猪之吉氏も居られ、又丁度穂高登山に来られたウエストン夫妻も居られた。九月に入ってから彼女が画の道具を持って私を訪ねて来た。その知らせをうけた日、私は徳本峠を越えて岩魚止まで彼女を迎えに行った。彼女は案内者に荷物を任せて身軽に登って来た。山の人もその健脚に驚いていた。私は又徳本峠を一緒に越えて彼女を清水屋に案内した。上高地の風光に接した彼女の喜は実に大きかった。それから毎日私が二人分の画の道具を肩にかけて写生に歩きまわった。彼女は其の頃肋膜を少し痛めているらしかったが山に居る間はどうやら大した事にもならなかった。彼女の作画はこの時始めて見た。かなり主観的な自然の見方で一種の特色があり、大成すれば面白かろうと思った。私は穂高、明神、焼岳、霞沢、六百岳、梓川と触目を悉く画いた。彼女は其の時私の画いた自画像の一枚を後年病臥中でも見ていた。その時ウエストンから彼女の事を妹さんか、夫人かと問われた。友達ですと答えたら苦笑していた。当時東京の或新聞に「山上の恋」