Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

Lesen Sie 暗黒公使 (ダーク・ミニスター) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.561 Zeichen · 420 Bildschirme

Aozora Bunko

「そこで談判がバードしたんだろう」

「ストーンと御免蒙ったってね」

「止せ止せ」

一同は哄と噴き出した。

私は両手をポケットに突込んだ。双眼鏡と懐中電燈がある。それから金容も……ピストルも……万年筆も……時計も……今四時四分を示している。ただ鼈甲縁の眼鏡と、紫檀のステッキがない。そうして身体を動かす拍子に両肩と首すじがピリピリと痛むのに気が付いた。大方ハドルスキーに抱きすくめられた時に暴れて磨り剥いたのであろう。

私はあれから約三十分ばかりの間、どこで何をしていたか。

私は眼を閉じてじっと記憶を辿ってみた。

私の記憶の中から高い赤煉瓦の建物の二階に並んだ窓の二つが、ぎらぎらと夕陽に輝いて現れて来るようである。それから夥しく並んだ自動車の間を抜けて来るうちにT3588と番号を打った自動車を発見してはっとした記憶が浮み出て来るようである。それから長い長い砂利道を色々な人間とすれ違いながら歩いて来るうちに、どこか遠くでポンポンポンと撃ち出す試験射撃みたような銃声を聞いたようにも思う。頭の上を轟々と音を立てて高架線の列車が走ったり、電車とすれすれに道を横切って誰かに叱られたようにも記憶するが、しかしそれが果して今日のことか、それともずっと以前の記憶の再現か、その辺がどうもハッキリしないようである。