Japanische Klassiker mit Furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Lesen Sie 暦 (こよみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.332 Zeichen · 112 Bildschirme
かやは背中を窓の敷居にもたれたままがくんと首を垂れて何かぶつぶつわけの分らないことを呟いている。呼んでみたが返事をしない。ちょうどそこへ八重たちが戻ってきてかわるがわる呼びかけたが、かやはやはりただ訳の分らぬことをいいつづけている。よく聞くと、高子に赤ままいうてこい、といっているのであった。村の郵便局へ住込みで勤めているために、このごろではめったに家で食事をすることのない高子に、かやは赤飯を食べさせたいらしい。その高子がかやの急変に飛んで帰ってきて、「おばあ、赤まま食べたぞお」と声をはり上げて呼びかけてもかやはただぐうぐう鼾をかいて眠り、時々「高子にあかまま」といいながらふたたび目を開けなかった。一里ばかり離れた埋立地で荷役をしていた重吉も、電話を聞いて駆けるようにして戻ってきた。かやの好きな甘酒饅頭を買ってきたが、そしてそれをちぎって口の中へ入れてやったが、かやはもう食べる意志を失っていた。一日眠りつづけて息を引きとった。病みづかれのない丸い顔は八十五歳とは見えぬ若さでてらてらしていた。
「あんまり本意ないじゃないかいの、せめてお前の生きとる間に小んまい家でも建てて安心さすつもりじゃったのに」