Japanische Klassiker mit Furigana
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あらしのなか
暴風雨の中
山本 周五郎
Lesen Sie 暴風雨の中 (あらしのなか) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.339 Zeichen · 30 Bildschirme
もしたんだ、口惜しいけれども、やっぱりおれも貧乏人の伜なんだ」
「人並なことを云うな、てめえはどれほどの人間だ」男がやり返した、「きいたふうなことを云やあがって、てめえは油屋を悪く云えた義理じゃあねえぞ」
「おめえにはおめえの理屈があるさ」
「きいたふうな口をききやがって、おぎんやおたい、お幸やおまさのことはどうなんだ、てめえにくどきおとされて、身を任せて、棄てられて、泣きをみているあの女たちのことはどうなんだ」
「そいつはおめえにゃあわからねえ」
「あの女たちのことはどうなんだ」と男はたたみかけた、「四人だけじゃねえ、ほかにもっとあるだろう。そんなにも弱い女たちに泣きをみせて、それでてめえは非道じゃあねえというのか」
裏で屋根瓦の割れる音がした。やみかかっていた風がまた烈しく、戸障子を揺りたて、庇をかすめてするどく咆えた。
「そうだ、非道かもしれねえ」三之助は低い声で云った、「けれどもしようがなかった、自分でもどうにもならなかったんだ」
「そう云えば済むと思うんだな」
「おめえにゃあわからねえ」
激しい風の唸りが彼の言葉を遮った。そして、そのするどい唸りにまぎれて、一人の娘がこの二階へ巧みに忍び込んだ。