Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきかげ

月かげ

豊島 与志雄

Lesen Sie 月かげ (つきかげ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.867 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

自分の身体がまた思いが、日の光や街路の灯に最も近しく親しかった。夜が更けても、家に帰って寝るのが惜しまれた。空は晴れてるし、夜の空気は爽かだし、街路の灯は美しいし、最後にも一度酒か珈琲か、熱いものが一二杯ほしくなって、連れの友人を無理に誘ったり、或はまた自分一人で、十二時過ぎまで起きているとあるカフェーの、明るい室にはいって行くことが多かった。

そのカフェーに、お光という女がいた。少しも美貌ではないが、何処と云って憎気のない円っこい顔をして、眼よりも寧ろ頬辺で、いつもにこにこ笑っていた。それが私の気に入った。私は日本酒や洋酒や珈琲などを、その時々の気分によって、ちびりちびりなめながら、彼女は卓子に両肱をつきながら、別に話をしたり冗談口を利き合ったりしようという気もなく、多くは遠慮のない沈黙のうちに、側目にはいい仲とでも見えそうに、ただぼんやり微笑み合っていた。友人と一緒の時には、僕のマドンナのお光ちゃん、などと冗談に云っていた。

白い天井、白い壁、白い卓子の例、天井から下ってる明るい電燈、勘定場の両側の大きな棕櫚竹、そんなもの凡てが夜更けの空気にしっとりと落着いて、そして私もその中に落着いてしまって、どうかすると我知らずうとうととすることもあった。