Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきとあざらし

月とあざらし

小川 未明

Lesen Sie 月とあざらし (つきとあざらし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.817 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

月は、けっして、あざらしのことを忘れはしませんでした。太陽が、にぎやかな街をながめたり、花の咲く野原を楽しそうに見下ろして、旅をするのとちがって、月は、いつでもさびしい町や、暗い海を見ながら旅をつづけたのです。そして、哀れな人間の生活の有り様や、飢えにないている、哀れな獣物などの姿をながめたのであります。

子供をなくした、親のあざらしが、夜も眠らずに、氷山の上で、悲しみながらほえているのを月がながめたとき、この世の中のたくさんな悲しみに、慣れてしまって、さまで感じなかった月も、心からかわいそうだと思いました。あまりに、あたりの海は暗く、寒く、あざらしの心を楽しませるなにもなかったからです。

「さびしいか?」といって、わずかに月は、声をかけてやりましたが、あざらしは、悲しい胸のうちを、空を仰いで訴えたのでした。

しかし、月は、自分の力で、それをどうすることもできませんでした。その夜から、月はどうかして、この憐れなあざらしをなぐさめてやりたいものと思いました。

ある夜、月は、灰色の海の上を見下ろしながら、あのあざらしは、どうしたであろうと思い、空の路を急ぎつつあったのです。