Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼうがくととうきょう
望岳都東京
木暮 理太郎
Lesen Sie 望岳都東京 (ぼうがくととうきょう) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.243 Zeichen · 61 Bildschirme
其他の時季では如何に好晴の日でも、遠い山を識別することは困難である。而も好く晴れて少くとも北西の風速八、九米を超えていなければ、地平線上に鬱積せる煤烟を一掃することが不可能であるから、従って遠い雪の山は望めない事になる。二月は強い風の吹く日は多いが、其頃は未だ山という山に雪が降るので、雲が懸り易いから、容易に全容を曝露するに至らぬ。桜の咲く三月下旬から四月にかけて好く晴れた日に強い北西の風が都大路の塵を吹き立てて、浮かれ心地の花見客が顔をしかめるような時こそ、吾等には断じて見逃すことの出来ない好機である。殊に此頃は前山の雪が消えて遠い山だけ白く残るから、紛糾した尾根が明瞭に識別され、重り合った糸のように細い雪線すら手繰り出すに困難でなく、正体を見届けるのに尤も都合が好い。自分がセバト川の上流に蟠るセバト連嶺から、苗場山を識別し得たのは丁度此頃の風の強い晴れた日であった。
秩父の群峰は東京から西望すると、鉄兜を伏せたような形をした武甲山を最後として、最早千米以上の山を崛起しない。夫からは八、九百米の山が一段低く連なって、高原状を呈している。此連嶺の北端には処女の乳房によく似た笠山が聳えている。