Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさのかぜ

朝の風

宮本 百合子

Lesen Sie 朝の風 (あさのかぜ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.605 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

設備万端が改善されて、人が自由に暮すアパートのようだと語られているのであった。そして近日内部を公開して一般に見せるという記事である。

とある低い崖の上の小さな家の縁側で、サヨがその新聞記事に目をとめた。

「あら」

膝をのり出すようにもう一度その記事の上へ視線をあつめた。

「ちょいと、これ……わたし達みられるのかしら。――見たいわ」

いくらか上気したような頬をあげて、その新聞をわたした対手はこの家にいるべき筈の重吉ではなくて、編ものをもって一人暮しのサヨのところへ遊びに来ている友子であった。

「本当にどうなんだろ……でも行ってみましょうよ、ともかく」

「ねえ」

サヨは友達の思いやりをよろこぶ表情で、

「私なんかには、ぜひみせてくれたっていいわけなんですもの」

だって、家族なんですものという心持をあらわして笑った。

ほんとにサヨはその内を一目みたい気がした。ああこんなところに暮して、こんな廊下も歩くのか。そうわかったら、どんなに重吉の一日も現実的に感じられて、こちらの気が楽になるだろう。

勤め先の事務所で名簿の整理をしながらも、サヨは子供っぽいような熱心さで時々それを空想した。