Japanische Klassiker mit Furigana
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あさがおぞうし
朝顔草紙
山本 周五郎
Lesen Sie 朝顔草紙 (あさがおぞうし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.019 Zeichen · 29 Bildschirme
「はい」「鞘が無いから、晒木綿でも巻いて置いて貰おうかな」「畏りました」
門番小屋を出た信太郎は、いちど部屋へ帰ったうえ、市を見物して来ると云い置いて、外へ出掛けた。
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信太郎は生れて初めて、烈火のような怒りを感じていた。
「なんという奸悪邪智の侫人だ、手段を選ばず斬って来いと仰せられた父上のお言葉が今こそ分る、斬ってやる、必ずこの手で斬ってやるぞ」
それが若し幾らかでも監物のために役立つとすれば、亡き文絵への手向にもなろう。
亀山城の大手から武家屋敷へ入って神尾采女の上屋敷を見た後、更に浜田川に添った海辺へ出た、石州随一の港と云われるだけあって、湾内は波静かに深く澄み、瀬戸ヶ島、矢箆島などという多くの小島が、美しい翠巒を水に写している。鶴ヶ浜にある采女の下屋敷は、香も新しい壮大な別墅造りで、その島々を前に見晴らす景勝の地に建っていた。
仔細に見廻ったが、老門番の云った通り如何にも要慎堅固で、上屋敷も下屋敷も到底外から忍び込むことは出来そうにない。
「――是は駄目だ」舌打をしてその日は帰った。
それから五日のあいだ、懸命に探り廻った結果、信太郎は次のような事実を慥めた。