Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きそおんたけのりょうめん

木曽御嶽の両面

吉江 喬松

Lesen Sie 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) von 吉江 喬松 (よしえたかまつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.819 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

何処を通って見ても充実した感じを覚えさせる。

夜になって雨が降出した。雨の中を傘をさして町を見に行く、廿間もある間口の大きな家が両側にならんでいる町を通る。大通りを横切っていくつかの横町がある。皆賑かに人が通っている。川の岸まで出て見ると、水が一ぱい溢れて流れている。橋の際に柳が立ち並んで、夜の雨で茫っとしている。岸の家々の軒燈籠が水にちらちら写っている。橋の上を若い男の元気の好い声が通って行く、橋の向うには柳のこんもりと茂った中から、ちらちら燈火が見える。その柳の一廓はこの町の廓だ。

総べてが賑かだ、「小京都」という名前にそむかないと思った。

書店へ寄ると、土地の絵はがきが出ている。その中に乗鞍岳の全景があった。私はそれを買って帰った。

群巒重々として幾多起伏している上を圧して、雪色の斑な乗鞍の連峰が長くわたっている。初秋の空らしい、細い雲がその頂の上を斜めに幾条も走っている。如何にも悠然とした山の姿だ。飽かず眺め入らずにはいられない。

信濃高原の西方を繞る山脈の奥深く、幾重かさなっている峰々の間から、四時雪の姿を見せている山はこれだ。入日が没した後にうす紫の色に包まれ、遠い微かな思いをさせながら夜雲の底に沈んで行く山もこれだ。